「もしかして私、口臭してる？」気になるお口のニオイの正体とは

ふとした時に気になる「口臭」。

自分では気づきにくいからこそ、人と接する時に不安を感じてしまう方も多いのではないでしょうか。

口臭の原因はさまざまありますが、その約8割はお口の中にあると言われています。そして、それを見逃さず早期に発見・対処できるのが、歯科医院での定期検診です。

今回は、歯科衛生士の視点から、口臭の主な原因、セルフケアでは対処しきれないケース、歯科での検診や治療の重要性についてお伝えします。

口臭の原因とは？〜主な3つの分類〜

口臭は大きく分けて以下の3つに分類されます。

1. 生理的口臭

誰にでもある自然な口臭で、起床時や空腹時、緊張時に強くなる傾向があります。唾液の分泌量が減ると、口の中の細菌が増えやすくなるため一時的ににおいが強くなります。

→ 一時的なもので、基本的には心配不要です。

2. 病的口臭

歯周病やむし歯、舌苔（舌の汚れ）、唾液の減少など、お口の中の病気が原因の口臭です。また、鼻や喉、消化器などの疾患が関係している場合もあります。

→ 治療が必要な場合が多く、放置すると悪化することも。

3. 心因性口臭（自臭症）

実際には強いにおいがないにもかかわらず、本人が強く口臭を感じてしまう状態です。不安やストレスが影響することもあります。

→ 心療内科など他科の受診が必要になることもあります。

口臭の多くは「お口の中のトラブル」が原因

特に**歯周病や舌苔（ぜったい）**は、口臭の大きな原因になります。

● 歯周病による口臭

歯周病は、歯ぐきの炎症や歯を支える骨の破壊を引き起こす病気です。進行すると膿（うみ）や出血がにおいの元となり、強い口臭の原因になります。

また、歯周ポケット（歯と歯ぐきのすき間）に溜まったプラークや歯石が、細菌の温床になっています。

● 舌苔（ぜったい）による口臭

舌の表面には、細かい突起（舌乳頭）があり、そこに食べかすや細菌がたまりやすくなっています。白っぽく見える部分が舌苔です。これが増えると、腐敗臭のような強い口臭を発生させることがあります。

● その他の原因

• むし歯でできた穴に食べかすが詰まる
• 不適合な被せ物や入れ歯の清掃不良
• 唾液分泌量の減少（加齢・薬の副作用・ストレスなど）

歯科検診で分かる！口臭の原因と対策

口臭の原因が「歯周病」や「舌苔」などお口の中にある場合、歯科医院での検診とケアが最も効果的です。

◆ 歯科検診でできること

• 歯周ポケットの深さを測り、歯周病の進行度をチェック
• 歯石やプラークの付着を確認
• 舌の状態や口腔内の乾燥度の確認
• ブラッシングの癖や磨き残しポイントの指導

◆ クリーニングで改善できる口臭も多い

定期的なプロによるクリーニング（PMTC）では、歯ブラシでは落とせない汚れや歯石を徹底的に除去します。これにより、細菌の活動が抑えられ、口臭が大きく改善されるケースも珍しくありません。

歯科衛生士が教える！口臭予防のセルフケア

毎日のセルフケアも、口臭対策には欠かせません。

✅ 正しい歯みがき

• 歯と歯ぐきの境目を意識して磨く
• デンタルフロスや歯間ブラシを併用する
• 電動歯ブラシの使用もおすすめ

✅ 舌の清掃

• 舌ブラシや専用の舌クリーナーを使って優しく舌をなでる

  ※強くこすりすぎると舌を傷めるため注意

✅ 唾液の分泌を促す

• よく噛んで食べる（ガムやキシリトールも有効）
• 水分補給をしっかりと
• 緊張やストレスをためすぎないことも大切

「口臭が気になるけど、相談しにくい…」そんな方へ

口臭については、「恥ずかしい」「言いづらい」と感じる方が多いですが、歯科医院ではとてもよくある相談内容です。実際に来院された患者さまの中には、「相談してよかった」「もっと早く来ればよかった」という声もたくさんあります。

私たち歯科衛生士は、患者さまの不安や悩みに寄り添いながら、お一人おひとりに合ったケアを提案しています。口臭は我慢するものではなく、改善できるものです。

まとめ｜気になる口臭は、まず歯科検診からはじめよう

口臭は、お口の中のサインであることが多く、早期に対処することで改善が期待できます。

特に、歯周病や舌苔のように、自分では気づきにくく進行するものもあるため、歯科検診の役割はとても大きいです。

「口臭が気になる」「家族に指摘された」「朝の口のネバつきが気になる」など、どんな小さなことでもかまいません。まずは、定期的な歯科検診から一歩を踏み出してみませんか？

清潔なお口で、気持ちの良い毎日を過ごしていただけるよう、私たち歯科衛生士がサポートいたします。